2025年12月29日、緊迫していた東南アジア情勢に大きな進展が見られました。プノンペンで開催された第3回日・カンボジア外務次官級協議において、日本政府は地域の安定化に向けた積極的な外交を展開しました。特に、激化の懸念があったタイ・カンボジア間の国境紛争に対し、日本側は軍事的な衝突を回避し戦争のリスクを低減させるため、強く自制を働きかけました。この外交努力は、ASEAN議長国や米国との連携もあり、12月27日の停戦合意という形で結実しています。本記事では、政府の政策決定プロセスや協議の詳細、そして今後の国会等でも議論の遡上にあがるであろう地域情勢への影響について解説します。

概要

第3回日・カンボジア外務次官級協議の具体的成果

プノンペンで行われた協議では、両国の関係強化に向けて多角的な議論が交わされました。主なポイントは以下の通りです。

• 包括的戦略的パートナーシップの強化：両国は「自由で開かれたインド太平洋（FOIP）」の実現に向け、協力体制をより一層強固にすることを確認しました。
• 経済連携の深化：「新たな協力アプローチ」および「経済共創パッケージ」の推進について合意に至りました。これにより、インフラ整備や人材育成など、持続的な経済発展に向けた協力が進む見通しです。
• 首脳外交の評価：2025年5月に実施されたフン・マネット首相の訪日を含め、近年の二国間協力の進展を双方が高く評価しました。

また、鯰外務審議官は協議に合わせてプラック・ソコン副首相兼外務大臣を表敬訪問しており、ハイレベルでの意思疎通が図られました。

タイ・カンボジア国境紛争と停戦合意への道のり

今回の協議における最大の焦点の一つは、地域情勢の不安定要因となっていたタイ・カンボジア間の国境紛争への対応でした。事態は一触即発の状況にありましたが、外交努力により沈静化へと向かいました。

• 日本の働きかけ：協議の中で、日本側はカンボジア政府に対し、紛争の激化を防ぐために強く自制を求めました。これは地域の平和と安定を最優先とする日本の外交政策を反映したものです。
• 即時停戦の合意：協議の2日後となる12月27日、カンボジアとタイの両国防相による会談が行われ、即時停戦が合意されました。
• 国際社会の反応：日本の外務報道官は速やかに談話を発表し、この合意を歓迎するとともに、合意事項の着実な履行を求めました。

ASEANおよび米国との重層的な連携

今回の停戦合意は、日本単独の成果ではなく、ASEAN諸国や米国と緊密に連携した結果であることが強調されています。特に注目すべきは以下の点です。

• ASEAN議長国との協力：2025年のASEAN議長国であるマレーシア等の外交努力と連携し、地域全体で紛争解決に向けた圧力を高めました。
• 日米の連携：米国とも情報を共有し、地域の緊張緩和に向けた足並みを揃えました。

このように、多国間の枠組みを活用して具体的な問題解決を図る姿勢は、日本の外交力が地域社会において信頼を得ている証左といえます。

まとめ

2025年12月の一連の外交活動は、日・カンボジア関係の深化と地域紛争の解決という二つの大きな成果をもたらしました。

• 停戦の履行監視：今後は、タイ・カンボジア間の停戦合意が着実に履行されるかどうかが焦点となります。日本は引き続き注視していく姿勢です。
• 経済と安全保障の両立：FOIPの推進や「経済共創パッケージ」の実行により、カンボジアとの関係は安全保障と経済の両輪で進んでいくことになります。
• 政府の実績としての評価：今回の迅速な外交対応と成果は、地域の安定化に寄与した具体的な実績として、今後の国会等の場でも評価される可能性があります。