この記事の要約
- 2026年度防衛予算案が過去最大の9兆353億円で決定
- 無人防衛網「SHIELD」構築に約1000億円を計上
- 中国は高市首相を「平和の破壊者」と強く非難
2025年12月、高市早苗政権は日本の安全保障政策において歴史的な決定を下しました。政府は2026年度（令和8年度）の防衛予算案を過去最大規模となる総額9兆353億円とすることを決定し、対中抑止力を抜本的に強化する姿勢を鮮明にしています。
今回の予算案では、無人機を活用した沿岸防衛システム「SHIELD」の構築や、長射程ミサイルの量産など、先端技術と攻撃能力への重点的な投資が明らかになりました。一方で、中国側はこれに猛反発しており、外交や軍事面での緊張が高まっています。本記事では、決定された予算の詳細、導入される新装備、そして国際情勢への影響について、最新のニュース情報をもとに解説します。
過去最大9兆円超の予算案と防衛力整備計画の進捗
2025年12月26日の防衛大臣記者会見等の情報によると、2026年度防衛予算案は本体経費だけで過去最大の約8.8兆円となり、米軍再編経費などを含めた総額は初めて9兆円の大台を超え、9兆353億円を計上しました。これは前年度比で9.4％増という大幅な伸び率です。高市首相の下、総額43兆円を投じる「防衛力整備計画」の4年目として、計画の総仕上げに向けた予算編成が行われました。
この予算規模は、日本が直面する安全保障環境の厳しさを物語っています。つまり、従来の延長線上ではない抜本的な軍備増強が、政治的な意思として明確に示された形です。43兆円という巨額の5カ年計画を着実に実行するため、財政的な負担が増しても防衛力を優先的に強化するという、政府の強い政策判断が反映されています。
無人防衛網「SHIELD」構想と海外製ドローンの導入
新たな防衛構想として、無人アセットによる多層的沿岸防衛体制「SHIELD」の構築に1001億円が盛り込まれました。これは地上・水上・水中・空中で活動する無人機を組み合わせたシステムで、2028年3月までの完成を目指しています。初期段階では国内開発だけでなく、トルコやイスラエルなどからの海外製無人機の輸入に頼る計画であることも報じられています。
「SHIELD」構想は、少子高齢化による自衛隊員の人手不足を補いつつ、防衛能力を維持・強化するための切り札と言えます。人間が危険にさらされるリスクを減らし、24時間体制での監視や対処を自動化・無人化することで、効率的な防衛網を敷く狙いがあります。また、実績のある海外製品を即座に導入することで、戦力化までの時間を短縮しようとする現実的なアプローチが見て取れます。
スタンド・オフ・ミサイルと次期戦闘機開発への巨額投資
反撃能力の中核となるスタンド・オフ・ミサイルの増強には約1兆円が配分されました。これには国産ミサイルの量産や、極超音速誘導弾の取得（301億円）が含まれます。また、将来の航空優勢を確保するための次期戦闘機開発には1602億円が計上されており、ハードウェア面での打撃力と技術開発に巨額の資金が投じられることが確定しました。
これは、日本が「守る」だけでなく、相手の射程圏外から攻撃できる能力（スタンド・オフ防衛能力）を本格的に保有することを意味します。極超音速兵器などの最先端技術への投資は、周辺国との技術格差を埋め、抑止力を高める狙いがあります。単なる装備の更新ではなく、質的な軍事力の向上を目指す動きが加速しています。
高市首相の「台湾有事」発言と中国側の激しい反発
中国メディア（CGTN）などは、日本の防衛予算増額と高市首相の姿勢を強く批判しています。特に高市首相が11月に「中国が台湾に行動を起こした場合、自国軍が関与する可能性がある」と発言したことを受け、中国側は強く反発。世論調査では回答者の81.5%が高市首相を「歴史修正主義者」「平和の破壊者」とみなしていると報じられており、地域緊張の原因は日本の軍事力強化にあると主張しています。
日本の防衛力強化は、中国側から見れば自国への脅威と映り、激しい外交的摩擦を生んでいます。「平和の破壊者」という強い言葉での非難は、中国国内の世論をまとめると同時に、国際社会に対して日本を牽制するプロパガンダの側面もあります。台湾情勢を巡る発言は、万が一の戦争リスクを巡る双方の神経戦を象徴しており、対話による緊張緩和が難しい局面にあることを示唆しています。
「航空宇宙自衛隊」への改編と多次元統合防衛
今回のニュース情報では、予算案とともに南西諸島の防衛強化に加え、「航空宇宙自衛隊」への改編方針も盛り込まれたことが明らかになりました。具体的な改編時期や予算の内訳詳細は今後の審議等の焦点となりますが、従来の航空自衛隊の任務領域を宇宙空間へと明確に拡大し、組織名称を変更する動きが具体化しています。
宇宙領域は現代の軍事作戦において情報通信や監視の要であり、陸・海・空に次ぐ重要な戦闘領域となっています。名称変更は単なる看板の掛け替えではなく、宇宙空間における優位性を確保し、多次元での統合的な防衛力を構築するという自衛隊の進化を示すものです。これにより、ミサイル防衛や無人機運用との連携強化が期待されます。
まとめ
2025年末に決定された2026年度防衛予算案は、以下の点で日本の安全保障政策における重要な転換点となります。
- 防衛費が初めて9兆円を超え、対中抑止を念頭に置いた抜本的な軍備増強が財政的に裏付けられたこと。
- 無人機による防衛網「SHIELD」や極超音速誘導弾など、先端技術への投資が加速し、戦い方の変革が進んでいること。
- 高市政権の強硬な姿勢に対し中国が強く反発しており、国会での予算審議と並行して、難しい外交のかじ取りが求められること。
「航空宇宙自衛隊」への改編や南西諸島の防衛強化を含め、日本はかつてない速度で防衛体制を刷新しようとしています。しかし、それは同時に周辺国との緊張を高めるリスクも孕んでおり、抑止力の強化と対話のバランスをどう取るかが、今後の大きな課題となるでしょう。
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