この記事の要約
- Z.aiが開発特化型LLM「GLM-4.7」を公開
- 思考維持機能やVibe Codingで実務を強化
- SWE-bench Verifiedで73.8%を記録
2025年12月28日、AI技術の進化を象徴する新たなニュースが注目を集めています。Z.ai（Zhipu AI）は、実務的なエンジニアリングワークフローに特化した大規模言語モデル（LLM）である「GLM-4.7」をオープンソースとして公開しました。このモデルは、開発者の思考プロセスを支援する独自機能や、フロントエンド開発を効率化する機能を備えており、既存の開発ツールとの統合も進んでいます。本記事では、プログラミングやIT業界に大きな影響を与えるGLM-4.7の詳細スペック、ベンチマーク結果、そして実際の開発現場での活用可能性について詳しく解説します。
GLM-4.7のオープンソース公開と概要
Z.aiは2025年12月22日、次世代の開発ツール向けLLMである「GLM-4.7」を正式にリリースし、オープンソース化しました。このモデルは、長時間実行されるタスクや複雑なツール使用を伴う実務的なエンジニアリングワークフロー向けに設計されています。また、Code Arenaのブラインドテストにおいて、オープンソースモデルおよび中国国内モデルとして1位を獲得した実績を持ちます。
これは、単に新しいAIモデルが登場したというだけでなく、実務レベルで使える高性能なAIが誰でも利用可能な形で提供されたことを意味します。特に長時間の作業や複雑な手順を要するタスクに最適化されているため、エンジニアの負担を軽減し、開発効率を飛躍的に向上させる可能性を秘めた重要なアップデートと言えます。
ベンチマークに見る圧倒的なコーディング性能
GLM-4.7は、ソフトウェアエンジニアリング能力を測る「SWE-bench Verified」において73.8%、「SWE-bench Multilingual」で66.7%という高いスコアを達成しました。さらに、数学的推論能力を測定するAIME 2025ベンチマークでは95.7%を記録しており、これはClaude Sonnet 4.5やGPT-5.1といった最先端モデルと比較しても同等以上の性能を示しています。
これらの数値は、GLM-4.7が単なるコード生成にとどまらず、複雑な論理的思考や問題解決能力において世界トップクラスであることを示唆しています。特に数学的推論における高いスコアは、アルゴリズムの実装やバグの原因究明といった高度なプログラミングタスクにおいて、頼れるパートナーになることを期待させます。
思考プロセスを維持する「Thinking before acting」
Z.aiは本モデルに「Thinking before acting」と呼ばれる新機能を導入しました。これには、思考の過程を挟み込む「Interleaved Thinking」、長い文脈でも思考を保持する「Preserved Thinking」、ターンごとの思考を行う「Turn-level Thinking」の各モードが含まれています。これにより、AIが行動を起こす前に論理的なステップを踏むことが可能になりました。
従来、AIは即座に回答を出そうとして間違いを犯すことがありましたが、この機能により「一呼吸置いて考える」ような挙動が可能になります。複雑な設計やデバッグ作業において、AIが文脈を見失わずに論理的な思考を継続できるため、より正確で意図に沿った回答が得られるようになり、IT開発の現場での信頼性が高まります。
フロントエンド開発を変革する「Vibe Coding」
GLM-4.7には、Webページやスライドのデザイン品質を向上させるための「Vibe Coding」機能が搭載されています。LLM Statsの情報によると、この機能はフロントエンド開発に特化しており、視覚的な要素を含むコーディングタスクにおいて、より洗練された出力生成をサポートします。
これは、バックエンドのロジックだけでなく、ユーザーインターフェースの構築においてもAIが強力な戦力になることを意味します。「Vibe Coding」により、エンジニアは直感的な指示で質の高いデザインコードを生成できるようになり、プロトタイピングの高速化や、デザインスキルを補完する形でのソフトウェア開発が進むと予想されます。
開発エコシステムへの統合と価格設定
GLM-4.7は、Claude Code、Cline、Roo Codeといった主要なコーディングエージェントツールへの統合に対応しています。APIの価格設定は、入力100万トークンあたり0.60ドル、出力100万トークンあたり2.20ドルからとなっており、高性能モデルとしては競争力のある価格帯で提供されています。
既存の人気ツールですぐに利用できる点は、導入の障壁を大きく下げ、多くの開発者が手軽に最新技術を試せる環境を提供します。また、リーズナブルな価格設定は、個人開発者やスタートアップ企業にとっても魅力的であり、コストを抑えながら最先端のAI技術をプロジェクトに組み込むことが可能になります。
まとめ
2025年末に登場したZ.aiの「GLM-4.7」は、実務を見据えた機能強化により、ソフトウェア開発の現場に新たな選択肢をもたらしました。
- エンジニアリング特化: SWE-benchでの高スコアやAIME 2025での95.7%という記録は、複雑なタスクにおける信頼性を裏付けています。
- 高度な推論機能: 「Preserved Thinking」などの思考維持機能により、長時間のタスクでも文脈を失わず、的確なサポートが期待できます。
- 実用的な統合: Claude Codeなどのツール対応や「Vibe Coding」によるフロントエンド支援は、即戦力としての価値を高めています。
- コストパフォーマンス: オープンソースであることに加え、API価格も安価に設定されており、幅広い層での利用が見込まれます。
今後、GLM-4.7を活用した新しい開発手法やツールが次々と登場することが予想され、IT業界全体の生産性向上に寄与することが期待されます。
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