この記事の要約
- NASAがアルテミス2号のロケットを1月17日に発射台へ移動と発表
- 2月6日の打ち上げに向けた最終段階、アポロ計画以来の有人月探査
- 人類が再び深宇宙を目指す歴史的瞬間の幕開け
ついに、人類が再び月への切符を手にしました。NASAは2026年1月12日、有人月周回ミッション「アルテミス2号」で使用する巨大ロケットSLSを、1月17日に組立棟から発射台へ移動させると発表しました。これは単なるロケットの移動ではありません。1972年のアポロ17号以来、半世紀以上にわたって途絶えていた「有人による月探査」が、いよいよ現実のものとして動き出す瞬間です。
いよいよ発射台へ、歴史的カウントダウン

ついにロケットが動くんですね! すごくワクワクします。
そうだね。1月17日にいよいよお披露目だよ。
発射台に移動するってことは、もうすぐ打ち上げですか?
2月6日が目標だね。準備は最終段階に入ったんだ。
アポロ計画以来って聞きました。そんなに久しぶりなんですか?
半世紀ぶりさ。僕らが生まれる前からの悲願なんだよ。
今回の発表は、単なるスケジュールの更新以上の意味を持ちます。NASAが提示した具体的なタイムラインは、計画が「構想」から「実行」のフェーズへ完全に移行したことを示しています。
- ロールアウト(移動開始): 2026年1月17日。組立棟から発射台までの約6.5kmを巨大な輸送機で移動。
- 打ち上げウィンドウ: 2026年2月6日を目標に設定。
- ミッション概要: 4名の宇宙飛行士が搭乗し、月を周回して地球に帰還する約10日間の旅。
- 使用機材: NASA史上最強のロケット「SLS」と宇宙船「オリオン」。
宇宙への旅を理解するための基礎用語

| 用語 | 詳細解説 |
|---|---|
| アルテミス計画 | アポロ計画の後継となる国際プロジェクト。 将来の火星探査も見据える。 |
| SLS | NASAが開発した超大型ロケット。 アポロ時代のサターンVに匹敵する。 |
| オリオン宇宙船 | 人類を深宇宙へ運ぶ新型カプセル。 居住空間と生命維持装置を備える。 |
| ゲートウェイ | 月周回軌道に建設予定の拠点。 宇宙ステーションとして機能する。 |
| 深宇宙 | 地球の重力圏や磁気圏の外側。 月や火星を含む遠方の宇宙空間。 |
| ロールアウト | ロケットを組立棟から出すこと。 発射台への移動作業を指す。 |
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アポロから半世紀、なぜ空白期間があったのか

でも博士、どうして50年も月に行かなかったんですか?
いい質問だね。一言で言えば「コスト」と「目的」だよ。
お金がかかりすぎるから、やめちゃったってことですか?
そう。冷戦後はスペースシャトルで地球近傍の活動に集中したんだ。
なるほど。じゃあ、なぜ今また月を目指すんですか?
次は「火星」に行くためさ。月はその実験場なんだよ。
火星! それなら行く意味が分かりますね。
それに、中国などの台頭で競争が再燃しているのも大きいね。
アポロ計画は米ソ冷戦下の「国威発揚」が主目的であり、莫大な予算が投じられましたが、持続可能ではありませんでした。その後、NASAはスペースシャトルや国際宇宙ステーション(ISS)など、地球低軌道(高度約400km)での活動に軸足を移しました。
しかし現在、再び月を目指す背景には、明確な戦略転換があります。それは「滞在」と「中継地」としての月の利用です。単に旗を立てて帰るのではなく、月面基地を作り、資源を利用し、さらに遠くの火星へ行くための技術を実証する場として、月が再定義されたのです。さらに、ジオポリティクス(地政学)の観点からは、宇宙強国を目指す中国との覇権争いという側面も無視できません。
着陸はしない?「2号」の真の目的とは

今回の2号は、月には降りないって本当ですか?
その通り。今回は月を周回して戻ってくるだけだよ。
えー、着陸しないんですか。ちょっと残念かも。
いきなり着陸は危険すぎるからね。まずは有人飛行のテストさ。
確かに。人が乗って安全かどうかが一番大事ですね。
そう。生命維持装置や操縦システムを極限環境で試すんだ。
慎重なんですね。クルーにはどんな人がいるんですか?
女性や有色人種、カナダ人もいるよ。多様性の象徴だね。
アルテミス2号の最大のミッションは、システム検証です。無人の「1号」ですでにロケットと宇宙船の性能は確認されていますが、人間が乗った状態で、深宇宙の放射線環境や生命維持システムが正常に機能するかを確認する必要があります。
特に重要なのが、以下のポイントです。
- 有人での深宇宙航行: 地球の磁気圏外での人体への影響データ収集。
- 手動操縦の確認: 自動運転だけでなく、飛行士による操作性の検証。
- 多様なクルー: 初の女性、初の有色人種、初の非米国人(カナダ宇宙庁)が含まれ、アポロ時代とは異なる「開かれた宇宙開発」を世界にアピールします。
月を目指すのは誰のため?交錯する思惑

みんな月に行きたがってるけど、良いことばかりなんですか?
視点によって見え方は全然違うよ。考えてみようか。
例えば、ビジネスの人たちはどう思ってるんでしょう?
宇宙ビジネスの巨大なチャンスだね。資源や輸送で儲かる。
逆に、批判的な意見もあるんですか?
「地球の貧困を先に解決すべきだ」という声は根強いよ。
確かに。莫大なお金がかかりますもんね。
軍事利用を懸念する国もある。単純な話じゃないんだ。
このニュースは、立場によって全く異なる風景として映ります。
- ビジネス(経済)の視点: SpaceXやBlue Originなどの民間企業にとって、アルテミス計画は巨大な市場です。NASAが民間委託を進めることで、ロケット輸送や月面着陸機の開発競争が加速し、宇宙経済圏(スペース・エコノミー)の拡大が期待されます。
- 科学・技術の視点: 研究者にとっては、月の石や地質の調査は太陽系の起源を知る手がかりです。また、深宇宙での通信技術や放射線防護技術は、地球上の技術革新にも波及する可能性があります。
- 社会・倫理の視点: 一方で、数兆円規模の税金投入に対し、気候変動や貧困対策への配分を求める声もあります。また、月の資源(水など)を誰が所有するのかという「宇宙法」の未整備な問題や、開発による環境汚染への懸念も存在します。
- 地政学・安全保障の視点: 米国主導の「アルテミス合意」に対抗し、中国とロシアも独自の月面基地計画を進めています。月が新たな安全保障上の最前線となりつつある現実も直視する必要があります。
そして火星へ。人類の生活圏は広がるか

このミッションが成功したら、次はいよいよ着陸ですか?
そうだね。「アルテミス3号」で有人着陸を目指すことになる。
すごい! 人類が月に住む未来も近いのかな。
ゲートウェイができれば、滞在型になるね。でも課題は多いよ。
どんな課題があるんですか? やっぱりお金?
予算もだし、技術的な遅延のリスクも常にあるね。
でも、そこを乗り越えて火星まで行ってほしいです!
人類が「多惑星種」になれるかの分岐点だね。
アルテミス2号が成功すれば、次は2020年代後半に予定されるアルテミス3号での有人月面着陸へと進みます。さらに、月周回拠点「ゲートウェイ」の建設が進めば、月は「行く場所」から「滞在し、働く場所」へと変わるでしょう。
しかし、楽観はできません。開発スケジュールの遅延、膨れ上がる予算、そして宇宙飛行士の安全確保という絶対的な課題が常に立ちはだかります。それでも、この一歩は人類が地球という揺りかごを出て、生活圏を太陽系全体へと広げていくための、不可欠な通過点なのです。
新たな「大航海時代」の幕開け

1月17日のロールアウトは、単なる機械の移動ではありません。それは、人類が再び未知のフロンティアへ挑む意志の表明です。アポロ計画が「競争」の産物だったとすれば、アルテミス計画は「持続」と「拡大」への挑戦です。私たちが見ようとしているのは、SF映画の世界が現実となり、人類の活動領域が地球の外へと不可逆的に広がっていく、その歴史的転換点なのです。