2025年12月、ドナルド・トランプ氏率いるトランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ（TMTG）が、核融合エネルギー開発のTAE Technologiesと合併するという驚きのニュースが飛び込んできました。この合併は、AIデータセンターの急増する電力需要に応えるため、科学技術の最先端である核融合発電の実用化を加速させることを目的としています。宇宙の恒星が輝く原理を地上で再現し、従来の化学反応とは一線を画す膨大なエネルギーを生み出すこのプロジェクトは、量子力学の知見を駆使した次世代のエネルギーインフラとして世界中から注目されています。

概要

独自の水素・ホウ素燃料技術と安全性

TAE Technologiesが開発を進める核融合技術は、一般的な核融合研究で主流となっている重水素・三重水素（D-T）反応とは異なるアプローチを採用しています。TAEの技術は「水素・ホウ素（p-B11）」を燃料とする点が最大の特徴です。

• 放射性廃棄物の回避: 水素とホウ素の反応は、一次反応で中性子をほとんど発生させないため、放射性廃棄物の処理問題を大幅に軽減できるとされています。
• 逆転磁場配位（FRC）: 独自の磁気ビーム駆動技術を使用し、プラズマを安定的に閉じ込めることに成功しています。TAEはこれまでに5つの核融合炉を建設し、安全に運転してきた実績があります。

この技術は、量子力学や高度な物理学の原理を応用しており、もし実用化されれば、科学技術史における最大のブレイクスルーの一つとなるでしょう。TAEはエネルギー省（DOE）のINFUSEプログラムを通じても資金提供を受けており、その技術的信頼性は公的機関からも一定の評価を得ています。

AIデータセンターへの電力供給と米中競争

今回の合併の背景には、テクノロジー業界における深刻な電力不足の懸念があります。特にAIデータセンターの電力需要は急増しており、既存の電力網だけでは賄いきれない恐れが出ています。TMTGとTAEの新会社は、この巨大な需要を満たすためのソリューションとして核融合発電を位置づけています。

• 開発の加速: 新会社は2031年までに最初の電力供給を目指しており、これは従来の予測よりも野心的なスケジュールです。
• 米中競争の激化: 中国も核融合研究に国家規模で投資を行っており、上海の新会社に21億ドルが投じられるなど、エネルギー覇権を巡る競争は激しさを増しています。

一方で、トランプ氏が大統領職にある場合などの利益相反の懸念についても一部で指摘されていますが、今回の60億ドル規模の契約は、民間資本と政治的影響力が交錯する一大プロジェクトとして進行することになります。

まとめ

トランプ・メディアとTAE Technologiesの合併は、単なる企業買収を超え、世界のエネルギー地図を塗り替える可能性を秘めています。

• 60億ドル規模の合併により、核融合実用化に向けた資金的基盤が盤石になりました。
• 2026年の建設開始、2030年代初頭の電力供給という明確なロードマップが示されました。
• 水素・ホウ素燃料というクリーンな技術が、AI時代の電力需要を支える鍵となります。

今後、2026年の建設開始に向けた具体的な立地選定や、規制当局の承認プロセスがどのように進むかが最大の注目点です。科学技術とビジネス、そして政治が絡み合うこのプロジェクトの行方を、世界が注視しています。